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私的メモ

書評 寺本康之『わが子に公務員をすすめたい親の本』(実務教育出版)

 タイトル通りの内容ですね。就活生本人のための本ではなく、その両親向けの本です。著者の寺本康之さんは公務員受験の予備校の講師の方です。「元ギャル男かつ元ニート」で「鳴かず飛ばずの役者」を続け、今は講師をしているという面白い経歴を持っているひとです。著者は「人に物事を相談するのが苦手」で、「勝手に決めて突発的な行動」をしがちだった自分と、親と相談しながら、自身の人生を決めて公務員となった妹と比較し、親のアドバイスの重要性を説いています。

 

 この本は、以下のような構成になっています。

 序章 今まさに公務員試験が変わりつつある
 1章 公務員はこんなにいい職業だ!
 2章 成功する親,失敗する親の違い
 3章 知っておきたい公務員試験のウソ・ホント
 4章 親が知っておくべき筆記試験のポイントと戦略
 5章 親子でできる人物試験対策

 

 だいたい、大ざっぱにいうとこの本の内容じゃ以下の三つにまとめられるでしょう。「公務員とはどういう仕事か?」

「公務員試験とはどういうものか?」

「合格のために、親御さんがするべきこと」

 

 このうちの最後の一つが一番重要なものだと思います。この本の中では第2章と第5章です。公務員試験は筆記試験に向けた勉強の時間が多いので(理系の専門職なら一ヶ月でも受かるひとはいますが、行政職なら短くて三カ月、長くて一年くらい)そのため、途中でドロップアウトしてしまうひとも多く(筆者曰く、三割程度)、そのためにどう子供に関わるのかを書いた部分は非常に参考になると思います。ちなみに、ドロップアウトしやすい時期は、夏休み12月3月の三つだそうです。

 

 この本の唯一の欠点はあまり具体的な仕事内容が書かれていないことでしょうか。そもそも、公務員と一口に言っても国家公務員や県庁職員・市役所職員・警察官・消防署などいろいろありますからね。全部紹介していったら大変でしょう。そこで、実務教育出版が出している『公務員試験受験ジャーナル』を読んでみるのも手かもしれません。実際に公務員になったひとの声が載っています。

 

 とはいえ、近所の本屋さんなどにはそもそも販売していないかもしれません。こういう本はなんとなく立ち読みをして全体の内容を知ったあとに購入したいというひとも多いかもしれません。そういうひとには、筆者の寺本康之さんが出演しているみんなの公務員試験チャンネル」の中から内容を検索することができる「みん公ライブラリー」を見てみると良いと思います。内容は試験対策についてのものが多いですが、職業情報のタグがついたやつから見れば気になる仕事について話しているものがあるかも。

 

 最後に、民間試験を含めた最近の就活についての両親向けに書かれたサイトを載せておきます。

 

保護者が知っておきたい就職活動に関するデータ12 | 就職みらい研究所